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<第八号/2001.3.31>

マニア必見!エレクトリック・ギター新製品情報

≪ギブソンUSA≫

まずはUS二大人気メーカーのひとつ、ギブソンUSAから。

最近の人気シリーズとしては、オール・マットブラック仕上げの「ゴシック・シリーズ」(レスポール、SG、フライングV、エクスローラー、ES-335の5種)がありますが、これは皆さんご存知でしょうから、今回は次の2機種を紹介したいと思います。

1.ブルースホーク<Blueshawk>

その名の通り、ブルース系ミュージシャンをターゲットに作られたモデルです。

見てくれは一見、レスポール風シングルカッタウェイのソリッド・ボディ・ギターですが、左右にFホールがあるのがミソ。

実は薄手ではありますが、ホロウがあるんです。

セミ・ホロウの音の良さと、ソリッドの小作りで使い勝手のいいところ、両方を取り入れたタイプなんです。

トップはメイプルと普通ですが、バックは珍しくポプラ。

ネックはマホガニー。握りやすい、薄いVシェイプです。

指板はローズ。インレイはダイヤモンド型。

スケールはオーソドックスな25.5インチ(64.5cm)。

バインディングはトップにシングルで。

ブリッジに特色あり。「ロー・プロファイル・ストリング・ボディ・スルー・システム」、つまりはボディの裏から弦を通すシステム。

他社ではともかく、ギブソンとしては、画期的なやり方です。

これによって、サステインと響きが格段に良くなるわけです。

さらにウリは「Blues 90」と名づけられた、シングル・コイル・ピックアップを2個装備。

ここから、ソリッド、しかもパワーもあるサウンドが生まれます。

シングルの場合心配なハム・ノイズも、ダミー・コイルを配することで、完全シャットアウト。

ボリューム、トーンはともにマスターのみ、ピックアップも3ウェスイッチで選択と、コントロールはいたってシンプルですが、ES-355などについているバリトーンも装備(6ウェイ)。

このバリトーンをプッシュ・プル・ポットで瞬時にオン・オフできるようになっています。

フィニッシュはヘリテージ・チェリー(写真)、エボニー、シカゴ・ブルーの3色。

クラシックな感覚とモダンな技術が融合した、新しい時代のブルース・ギター。

この「ブルースホーク」で次世代のブルースを紡ぎだすギタリストになってみては、いかが?

2.リトル・ルシール<Little Lucille>

「ルシール」といえば、知らないひとはいない、B・B・キング愛用のギブソン製ギターですが、ギブソンとB・Bのコラボレーションから、もう一台の名器が生まれました。

それが「リトル・ルシール」です。

デザインは「ブルースホーク」とほぼ同じ。メイプル・トップにポプラ・バック。

写真ではわかりづらいですが、2個のFホールも備えています。

フィニッシュは、「ルシール」同様、エボニーのみ。

マホガニー・ネックにローズの指板。ダイヤモンド・インレイ。25.5インチのスケール。

このあたりは「ブルースホーク」と共通の仕様です。

ブリッジはちょっと違って、おなじみのチューン・O・マチック。

テイルピースは新型のTp-6。

クリーム色のバインディングがボディと指板にほどこされており、ハードウェアはすべてゴールドですので、いかにもゴージャスなルックスです。

ピックアップはこちらも「Blues 90」。ただし色違いのクリーム。

コントロール関係はすべて「ブルースホーク」と共通です。

ステージで映えることは間違いなしのこの一台、ゲットすれば、「リトル・B・B」の気分を味わえることうけあいです。

≪フェンダーUSA≫

ギブソンとくればお次は当然、フェンダーUSAでしょう。

フェンダー、超スタンダードのロングセラー、ストラトキャスター、テレキャスターに加えて、最近はオルタナ系のロッカーに愛用されたことでジャガー、ジャズマスター、ジャグスタングといった傍系のギターにも人気が出てきました。

そんななかで、まだまだ日本では知られていない、注目の一台を紹介しましょう。

サイクロン<Cyclone>

ボディ・シェイプはムスタング風。ボディの左下コーナーはストラトのようにシェイプされたライン。

ヘッドは大きめ。オリジナルのジャズマスターと同じものです。

スケールは24.75インチ(62.6cm)と、われわれ日本人にも大変弾きやすいショート・スケール。

ボディ及び指板はローズ。

ピックアップは2個。フロントは「テックス・メックス」と呼ばれる、現在のストラト用シングル・コイルピックアップで、歯切れのよいサウンドが得られます。

そしてなんといってもこの「サイクロン」のウリは、リアに配置された、「アトミック・ハムバッカー」と名づけられた、ニュー・デザインのハムバッカー。

名前どおりに高出力、破壊的パワーを持ったサウンドが特長。従来のフェンダー・ギターの弱点であった、リア・ピックアップの音のショボさをみごとに解決しています。

もちろん、フェンダーならではの効きのいい、トレモロアームを装備。

コンパクトにまとまったボディ、1ボリューム、1トーン、3ウェイスイッチとシンプルで扱いやすいコントロール類。プレイヤビリティの高い1台といえます。

爆音系バンドでは、隠れた人気を獲得しつつあるとか。

フィニッシュはブラック、キャンディ・アップル・レッド(写真)、ブラウン・サンバースト、アークティック・ホワイトの4色。デラックス・ギグバッグ付き。

ステージで、リハーサルで、フルに使えそうなこの小さな暴れん坊「サイクロン」。

一度、チェックしてみる価値はありそうです。

ストラタコースティック<Stratacoustic>&テレコースティック<Telecoustic>

フェンダーUSAから、もうひとつの話題。

一般的にはあまり知られていませんが、フェンダーはエレキ・ギターだけでなく、アコースティック・ギターも作っています。

そんなフェンダーから、ひさびさに面白いアコースティック・ギターが出たのでご紹介。

その名も、ストラタコースティックにテレコースティック。

なんと、大人気のストラト、テレキャスのボディラインをそのまま使って、エレアコ、つまりピックアップ付きのアコギにしてしまったんです。

さすが、ユニークな発想で、ギター界をリードしてきたフェンダーならではの製品です。

ボディはスプルース・トップとファイバー・グラスのサイド/バック。材質もイマ的ですね。

ネックはメイプル。指板はローズ。

21フレットと、エレキのストラト、テレキャスと同様ですので、ハイ・ポジションでのプレイも楽チンです。

また、生音で演奏することも出来ますが、ピエゾ・ピックアップと4バンド・イコライザーの組み合わせによって、より幅広いサウンド・バリエーションを楽しむことが出来ます。

すでに日本国内の楽器店にも数多く出回っているので、らくに見つかるはず。標準価格は4万円(税抜、以下同様)。

ストリート・ライブで威力を発揮しそうな一台。フェンダー・ファンのあなたなら、ちょっと欲しい一台でしょ?

≪アイバニーズ≫

アイバニーズ、むかしはイバニーズなんて呼んでおりましたが、カスタム・メイド系ギターメーカーのはしりです。

フュージョン系ギタリスト、ジョージ・ベンスンが愛用したことで、一躍有名になりました。プレイヤビリティ、音質のよさでは定評があるメーカーです。

日本では、現在、星野楽器販売(株)というところが、輸入・販売しています。

人気の中心はやはり、L.A.カスタム・ショップ・デザインによるシリーズ。

では、その最新モデルを紹介しましょう。いずれも、現在人気上昇中のロング・スケール・ギター。

27インチ(68.3cm)と超ロングなスケールのメリットは、チューニングを落としても弦のテンションが保たれ、アタック感やサステインもそこなわれないということ。

より低く、ヘビーでハードな音を求めるギタリストたちから火がついた、最新モードです。

RG6CSD2

ボディはバスウッド。白のバインディングがほどされています。

ネックはメイプル・ブービンガの5ピース。

指板はローズ。ブリッジはアイバニーズ独自の「ロー・プロ・エッジ」というタイプ。

ピックアップはフロントにシーモア・ダンカンの'59モデル。リアは同じくJBモデル。

コントロール類は2ボリュームに、3ウェイスイッチ。余り使うことのないトーンは省いてしまっているのが特徴。トレモロ・アーム装備。

フィニッシュは、キャンディ・アップル・フラットに、ジュエル・ブルー・フラット(写真)の2色。ギグバッグ付き(他も同様)。

このスペックで13万5千円は、なかなかリーズナブルかも。

RG7CSD2

基本仕様はRG6CSD2とほぼ共通ですが、7弦というのが一番の違い。ブリッジはGTC 7というタイプにかわります。弦は裏通し。トレモロアームはなし。

また、ピックアップは3個。フロントはディマジオのAir Norton 7、ミドルは同じくBlaze 2-S(シングル・コイル)、リアは同じくTone Zone 7と、凝ったセレクションになっています。

コントロールは1ボリューム、1トーン、5ウェイスイッチと、割合シンプル。でも、異なるタイプのピックアップの組み合わせにより、さまざまなサウンドが出せる仕組みです。

フィニッシュはブラックのみ。

低音にこだわる、メタル系ギタリストにおススメの一台です。14万円。

S6CSD1

こちらは6弦タイプ。ボディはマホガニー。

ネック、指板はRG6CSD2、RG7CSD2と同様。ブリッジ、テイルピースはチューン・O・マチック風のGibraltar 2とQuickchange 2(ストップテイルピースより弦が交換しやすい)。

ピックアップは、フロントがEMG 85、リアがEMG 81。

コントロールは、1ボリューム、1トーン、3ウェイスイッチと、ごく標準的なもの。

フィニッシュはマホガニーの美しい木目を生かしたウォールナット・フラットのみ。高級感あふれる一台です。15万5千円。

27インチというスケール、7弦を生かしたワイルドなプレイ、これからのギタリストのメインストリームになるかも!

≪ポール・リード・スミス≫

ポール・リード・スミスといえば、これまたカスタム・ギターの王者的存在。

最近では、サンタナのシグネイチャー・モデルなどを出して人気を集めております。ジャーニーのニール・ショーンがもっぱら愛用しているのもPRSです。

なんといっても、ヴィンテージ・ギターにまさるとも劣らぬ、高品質のマテリアル、贅を凝らしたフィニッシュ。妥協を許さぬギター作りで、高い評価を得ています。

ギブソン社でレスポールを開発した男、セオドア・マッカーティ氏の技術力が、信頼度の源でしょう。

日本では(株)コルグのインポート部門、KIDが輸入・販売をしています。

カスタムと銘打たれているとおり、パーツ、フィニッシュなどに細かい注文が出来、さまざまなオプションがつけられるのがPRS最大のウリ。

カスタムの基本料金は38万円ですが、これにレフト・ハンド(10%アップ)など各種のオプションが設定できます。

では、究極の一品をオーダーしてみましょうか。

まずはボディ。トップはメイプルのテン・ピース。バックはマホガニー。

ネックはマホガニーのセットネック。薄手で幅広のやつです。

指板はローズ。インレイは鳥型。スケールは25インチ(63.25cm)。24フレットですので、プレイしやすさは折り紙付き。

ピックアップはフロントにPRSオリジナルのVintage Bass、リアに同じくHFS Treble。

コントロールは、ボリューム、トーン、そして5ウェイ・ロータリースイッチ。

トレモロは独自のシステムを装備、精度の高いペグやナットの装備とあいまって、チューニングの狂いもきわめて少ないのです。

フィニッシュは29色からお好みのカラーをどうぞ。

PRSのスゴいところは、塗装を極限まで薄くし、音質を損なわないようにしている点。

なんと1000ものヤスリを使い、光り輝くまでパフがけをしているのです。

こうなると、もう芸術の世界。とにかく美し〜いのひとこと。

しめて、49万円也! クルマ一台買えてしまうような値段ですが、全世界にたった一台しかないギターが手に入ります。

お値段に見合ったクォリティは完全保証です。

ギター・マニアなら、一度はチャレンジしてみたいカスタム・メイド。まずは、貯金から始めますか?

≪フェルナンデス≫

さてさて、アメリカものばかりがエレキ・ギターじゃありません。

日本にだって、いいメーカーはありまっせ、ということで、代表的メーカーのひとつフェルナンデスの登場です。

今年3月に発売されたばかり、出来たてのほやほや、というのが「POP ART DESIGNERS GUITAR SERIES」

現在活躍中の3人のポップ・アート・デザイナーを起用、まったくオリジナルなデザインのギターを3種発表したのです。

PAD-700RA

一人目は、荒井良二氏。

広告や舞台の世界で活躍する一方で、「ユックリとジョニジョニ」「はじまりはじまり」「うそのつき」などの作品で知られる絵本作家でもあります。

彼のデザインしたのは「PORONG」(PAD-700RA)

ポップな色つかいがとても楽しいギターです。

PAD-700HO

二人目は、小田島等氏。

彼はサニーデイ・サービス、くるりなど日本のロック・アーティストのCDジャケット、単行本の装丁、ショップロゴの作成など、グラフィック・デザイナー&イラストレーターとして活躍するほか、マンガも手がける多才なひと。

彼のデザインしたギターは「YURAGI」(PAD-700HO)

ネック、ヘッドもふくめてギター全体を使ったデザイン。カラーリングが絶妙です。

PAD-700HM

最後は、本秀康氏。

雑誌「ガロ」の連載マンガや、「ミュージック・マガジン」の表紙などでおなじみのイラストレーター。どこかレトロでユーモラスな画風は皆さんもご存知でしょう。

おなじみのマンガのキャラクター、レコスケくんを全面にフィーチャーした彼のギターは、その名もズバリ、「RECOSUKE」(PAD700HM)

明るくキュートなデザインがナイス!です。

もちろん、3種とも、ギターとしてもしっかりとした出来ばえ。

仕様は3種共通で、メイプルのボルトオン・ネック。25.6インチ(64.8cm)スケール。

指板もメイプル。22フレット。ボディはアルダー。ピックアップはVS-PROを3個装備。

ブリッジはオリジナルのFER-ST-GBで、トレモロアーム付き。

コントロールは1ボリューム、1トーン、5ウェイスイッチ。

お値段も7万円ですから、中級以上のプレイヤーがターゲットです。今後、これをシリーズとして続けていきたいとのことですから、フェルナンデスさんもリキ入ってますね。

とにかく、これをステージで使えば、目立つこと、ウケること間違いなし。ぜひ、プロのプレイヤーにも使ってほしい3台であります。

フェルナンデスから、もう1台。

今度は企画ものではなく、本格派向けの機種です。

その名も「FR-125S ELITE」

FR-125S ELITE MBS

FR-125S ELITE FN

最近、第6弦よりさらに低音の弦を増やした「7弦ギター」がポピュラーになってきましたが、このFR-125S ELITEも、7弦ギター。

ウリはもちろんそれだけでなく、精度の高いダブル・ロッキング・トレモロ、パースペクティブ・コンタードやヒールレス・ジョイントなど、プレイヤビリティを高めるさまざまな工夫がこらされていますが、そのきわめつけは「フェルナンデス・サスティナー」です。

サスティナーといっても、従来の電気信号を加工するエフェクターとは根本的にちがって、弦振動を自由にコントロールするために開発されたシステムです。

フロントピックアップに搭載されたサスティナー・ドライバーが弦そのものを強制的に振動させることにより、スイッチをオンにして普通に演奏するだけで、ロングサスティーンが得られます。

クリーントーンでもロングサスティーンが得られるというのは画期的なことといえそう。

ボディはホンジュラス・マホガニー。メイプルのボルトオン・ネック。25.6インチ(64.8cm)スケール。指板はローズ。

ピックアップはフロントにHPD-200-7、リアにFHM-7S。ブリッジはFRT-11-7 。

コントロールは、1ボリューム、1トーン、3ウェイスイッチ。フィニッシュはメタリック・ブラック・サテンと、フラット・ナチュラルの2種。12万5千円。

メタル系はいうまでもなく、さまざまなジャンルで使えそうな、使い勝手のいい1台。

なお、フェルナンデス・サスティナーは、他にも各種のギターに搭載されているほか、同社のギブソンコピーブランドである「Burny」のギターにも搭載されています。

たとえば、Burny RLG-55SおよびRLC-55Sには「フェルナンデス・サスティナー・ライト」が使われているので、こちらもぜひチェックしてみてください。

≪アリアプロII≫

さて、日本のメーカーをもう一社とりあげてみましょう。

コピーモデルとともに、オリジナル・ギターの開発にも熱心なのが、老舗「アリアプロII」です

操作性抜群のダブル・カッタウェイシェイプで80年代前半に高い人気を誇ったCSシリーズ。

このCSシリーズが、リニューアルして登場したのがニューCSシリーズです。

まずはギターのCS-400

CS-400

ボディはアルダー。ネックはメイプル。ボルトオンでヒールレス・ジョイント。

指板はローズ。22フレット。24.75インチ(62.8cm)のショート・スケール。

ピックアップは2個。フロントはMH-1F、リアはMH-1R、ともにハムバッカー。

テイルピースはブリッジと一体化したVGB-2。コントロールは2ボリューム、2トーン、3ウェイスイッチ。

フィニッシュは、メタリック・ブルー・シェード(写真)、メタリック・レッド・シェード、メタリック・ピューターの3色。

弾きやすさバツグン、これで4万円とはお手頃だと思いますよ。

続いてベースのCSB-450です。

CSB-450

こちらもボディはアルダー。ネックはメイプル。ボルトオンでヒールレス・ジョイント。

指板はローズ。22フレット。32インチ(82cm)スケール。

ピックアップは2個。フロントはMBH-4F、リアはMBH-4R、ともにハムバッカー。

テイルピースはSDB-1。コントロールは2ボリューム、1トーン、3ウェイスイッチ。

フィニッシュは、メタリック・ブルー・シェード、ワイン・レッド(写真)、メタリック・ピューターの3色。4万5千円。

CS-400同様、納得のプライス。ともに入門者には最適のモデルでしょう。

♪♪♪

4万円から49万円まで、さまざまなタイプのギターを紹介してまいりましたが、あなたはどのモデルがお好きですか?

よーくチェックして、ぜひ、ご自分にピッタリのモデルを見つけてください。

<お知らせ>

「週刊ネスト」をいつもお読みいただき、まことにありがとうございます。

大変恐縮ですが、管理人多忙のため、4月より、月刊発行に変更させていただきます。

どうかご了承ください。これからもご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。管理人拝。


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