投稿ページ<わたしの絶対推薦盤(2)>

当HP掲示板の常連、かつさんからの寄稿、第二弾です。


わたしの絶対推薦盤(2)    text by Katsuaki Ito

<1968 Columbia/Legacy 65150>

今回ご紹介するのはThe Byrds"Sweetheart of the Rodeo"/ロデオの恋人です。

The Byrdsというと、多くの方が「ミスタータンブリンマン」、「ターン・ターン・ターン」等のアルバムを思い浮かべられると思いますが、私の場合は断然このアルバムへの思い入れが大です。

このアルバムを買ったのは忘れもしない、97年3月にロスに行った時にサンタモニカのペニーレーンというCDショップで購入しました。

何の気なしに見つけたのですが、何故かカントリー風の可愛らしいジャケットに惹かれて購入しました。

で、それがなんとも大正解で、この名盤との出会いだったのです。

さて、The Byrdsはご存知の通りフォークロックバンドとしてデビューしました。

その後サイケデリック・サウンドに走った後、このアルバムでアメリカ南部伝統のカントリーミュージックに挑戦し、それが見事に実を結び、カントリーロックの名盤と称されるアルバムを完成させたのです。

しかし、実際はこのアルバムはThe Byrdsのアルバムとは言えないかもしれません。

このアルバムを製作するにあたり、グラム・パーソンズとクラレンス・ホワイトと言う二人をメンバーに招き入れ、彼らの色が強いアルバムだからです。

グラム・パーソンズはカントリー・ロックバンドの先駆けとして知られる、インターナショナル・サブマリン・バンドの出身で、このアルバムへ参加した後、"Flying Britto Brothers"を結成し、その後ソロへと転じ、現在も活躍するカントリー女性歌手 エミルー・ハリスを発掘したことでも知られています。

グラム自身は73年、まさにこれからという時にドラッグのオーヴァー・ドーズで亡くなってしましました。

クラレンス・ホワイトは人気ブルーグラスバンド、ケンタッキー・カーネルズのギタリストとして活躍していました。彼は2弦をベンドする、ストリング・ベンダー・ギターを発明したことでも知られています。

彼もまた交通事故で若くして亡くなっており、このアルバムの重要人物二人が亡くなっていることは悲劇としかいいようがありません。

それでは、収録曲を曲順ごとに紹介しましょう。

(1)YOU AIN'T GOING NOWHERE

 この曲でヴォーカルをとっている、ロジャー・マッギンのアイドルである、ボブ・ディランの作品。

コードストローク中心のアコギと、スティールギターがこの曲をカントリー風に仕立てあげている。

(2)I AM PILGRIM

 フィドルとバンジョーによるイントロで始まるホンワカとした小唄。「私は巡礼者」と歌う歌詞には「ヨルダン河に行って許しを乞おう」というものもあり、ある種の宗教歌とも言える。作者はカントリー界の大御所、マール・トラヴィス。

(3)THE CHRISTIAN LIFE

 ヒルビリー・デュオ・グループ、ルーヴィン・ブラザーズのカヴァー曲との事。ヴォーカルはロジャー・マッギンが務めているが、グラム・パーソンズがヴォーカルのヴァージョンもある。(The ByrdsのBOXセットに収録)

(4)YOU DON'T MISS YOUR WATER

 メンフィス・ソウルの名曲(ウィリアム・ベル作)をカントリーバラードに! この曲あたりからクラレンス・ホワイトのBベンダー・ギター、ロイド・グリーンのスティール・ギターが全開。

ソウルとカントリーが見事に融合した傑作。この選曲はグラム・パーソンズの嗜好と思われます。

(5)YOU’RE STILL ON MY MIND

 グラム・パーソンズがリード・ヴォーカル。決して上手いとは言えないのですが、あの鼻に掛かった声が、一度嵌るととても魅力的に感じます。そのヴォーカルを彩るようなホンキートンク調のギター、ピアノの後に続くペダル・スティールもカントリー・フレーバーたっぷりで、本作で一番カントリー・フィーリング溢れる作品となっています。

(6)PRETTY BOY FLOYD

 アメリカン・フォークの父として知られる、ウディ・ガスリーの作品。

バンジョー、フィドル、マンドリンとカントリーには欠かせない楽器の音色が大いに楽しめます。

思わず身体を動かしてしまいそうな、ノリノリのリズムも最高の小唄です。

(7)HICKORY WIND

 このアルバムの中で最高の出来といっていい、まさにハイライトと言える曲。グラム・パーソンズが書いたカントリー・ワルツで、彼のヴォーカル、女性コーラスによるハーモニーがなんとも優雅な気持ちにさせてくれます。望郷の念を歌うこの曲にぴっ たりの切ないペダル・スティール・ギターも最高です。

(8)ONE HUNDRED YEARS FROM NOW

 100年後の世界というタイトルがついたこの曲もグラム・パーソンズの曲。その後のソロアルバムを思わせるような曲調で、こういう曲からウェスト・コースト・ロックが生まれてきたのではなかろうかと思ってしまいます。このアルバムは発表から35年経った今でも新鮮に聴こえるので、きっと発売から100年経っても残る名盤だと思います。

(9)BLUE CANADIAN ROCKIES

 ハンク・スノウの大ヒット曲のカヴァー。この曲もグラムのリード・ヴォーカル。コーラスが珠玉の出来。

(10)LIFE IN PRISON

 カリフォルニア州ベイカーズ・フィールドのカントリーの大スター、マール・ハガードの曲。

この曲もグラムの選曲と思われ、ヴォーカルも彼が務めている。流石アイドルとしているだけのことはあり、堂々とした力強いカヴァーです。

(11)NOTHING WAS DELIVERED

ザ・バンドとボブ・ディランの共演で有名な「ザ・ベースメント・テープス」に収録されていた曲のカヴァー。メンバー全員によるコーラス、間奏のペダル・スティールの美しさが際立っている作品です。

*曲の時間が短いこともあり、あっという間に終ってしまうこのアルバムですが、何度通して聴いてもすがすがしい気持ちになるので是非皆さんにお勧めしたいと思います。

このアルバムでグラム・パーソンズに興味を持たれた方は是非彼のソロアルバムも聴いてみて下さいね。きっとお気に召されると思いますので。(了)


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